2021年度『サイエンス・コミュニケーション演習』

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3年次(4年次)の上級科目として『サイエンス・コミュニケーション演習』を開講します。『UECパスポートプログラム』の一環として開講される本科目の目的は、科学の専門的な内容を他者に伝える具体的なアプローチの例を学び、今後、学生が自ら専門的な内容を他者へ発信できる能力を高めようとするものです。

受講生による講義紹介

全体を通して

『専門外の人に科学を伝えるために』

サイエンスコミュニケーションとは、科学を一般の方へ分かりやすく伝えることを指します。「伝える」というと簡単に聞こえますが、科学的な内容を分かりやすく伝えることは容易ではありません。例えば、一般の方はあなたと同じ興味を持っているとは限りませんし、未知のものに対して積極的ではないかもしれません。今年のこの講義では、「他者の研究を正しく広報する技術」「楽しく伝わる説明」「ターゲットと提供する内容を意識した内容構成」といった視点から、科学の知識を一般の人に分かりやすく伝えるためのヒントについて学びました。担当する先生によって毎年テーマは変化していますが、どの方から学ぶ場合でも、科学を伝える上でのエッセンスとなる部分は変化していないと思います。この講義で身につく「分かりやすく人に伝える技術」は一般の方のみならず、自身と異なる専門分野の方と接するときにも役立つスキルです。現場の最前線で活躍する方から、実践的な科学の伝え方を学べる講義は他にありません。興味があれば、ぜひ受講してみてはいかがでしょうか。(R.N.さん)

各講義を受講して

『プロ漫画家の頭の中に迫る』
はやのん先生の講義
「研究広報のSNS担当になったらどうしよう!?」より

1日目は、理系漫画家としてご活躍されているはやのん先生をお招きして、研究広報をテーマに授業を行いました。先生の経験を交えた講義のあと、学生が事前課題で用意した科学技術の面白い話題をいくつかピックアップし、全員でその内容について議論し掘り下げました。私は来年度から研究室へ所属し本格的に研究活動を行うのですが、研究だけしていれば良いわけではない・科学の面白さや素晴らしさを多くの人に知ってもらいたいと考えていました。そんな悩みに対する解決のヒントを得ることができたのが本講義でした。具体的には、伝えるべき情報量はどうするか?専門用語はどう使うか?自分が詳しい内容をあまり詳しくない人に説明するにはどうするか?などです。本講義を通して、研究広報の重要性や人に誤解なく伝えることの難しさについて考える事ができました。また、他の学生が用意した面白い話題について議論することで、詳しくない分野の内容は初見の人にどう伝わるのか身をもって実感する経験もする事ができました。(K.T.さん)

『伝えると伝わる』
黒ラブ教授の講義
「大学の先生芸人が伝えるサイエンスコミュニケーション技術実践特論」より

サイエンスコミュニケーション2日目は国立科学博物館認定サイエンスコミュニケータ,吉本興業芸人、研究員と多岐に渡り活躍している黒ラブ教授による,研究内容などを一般の方にいかにわかりやすく,興味を持ってもらえる説明ができるかという講義であった.「発表者は知識の呪縛に気をつけなければならない.自分と他人は想像以上に違う.」黒ラブ教授はこう述べられていた.自分の専門分野の話になると,我々はつい自分にとって当たり前の知識となっているものや面白いものが他人にとって難解であったり,面白さがわからない可能性について忘れてしまう.受け手の感情の流れを軸に,簡単に,しかし論理的に,魅力が伝わるような流れにする必要があることを知った.講義の後半では事前に受講者が作成した研究内容や興味分野についての発表資料を,いかに一般の方にわかりやすく伝わるようにするかという検討をグループで行った.この実習を通して,最初に一番面白い話を持ってきたり研究の苦労話を入れてみたりすると惹かれる内容になるなど,発表の流れの重要性を特に強く実感した.一方的に伝える,ではなく一般の聞き手にとって魅力的に伝わるように,ということに重点をおいた非常に面白く実用的な講義だった.(S.T.さん)

『誰に何を伝えるか』
熊谷現先生の講義
「その話、誰が聞きたいの?対象を意識したサイエンスコミュニケーションのススメ」より

3日目は丸善出版の企画編集部のグループ長で国立科学博物館認定のサイエンスコミュニケータの熊谷現先生が講師です。科学分野の書籍の編集などをされている先生のお話で特に印象に残っているのは「フックの無いメッセージは誰にも届かない」ということです。文字通り特定の誰かに対して引っかかるようなキャッチコピーやメッセージでないと心には響きません。そしてそのフックは相手の文脈を想像する必要があります。そして講義の中で意外だと感じたのは「易しい表現≠伝わる表現」ということです。平易な言い方・書き方なら伝わりやすいという考えが安直であることを思い知りました。そして最後にまとめとして「ターゲットは誰か」「提供価値は何か」「ターゲットに合った内容・表現は何か」が大事であるという言葉で締めくくられ、コミュニケーションの神髄を学ぶことができました。(F.O.さん)

ガイダンス

2021年7月12日(月) 5限  於)Zoom

Zoom情報は、GoogleClassroomに掲載(上方のクラスコード参照)

『サイエンス・コミュニケーション演習』の目的,概要の説明を行います.同時に受講希望者数の調査を行います.

受講申し込み方法

GoogleClassroomの申込フォーム(7月初旬投稿予定)にてお申込み下さい

参加人数に上限があります。応募者多数の場合は選抜を行い、選抜結果を連絡します。

申し込み締め切り:7月20日(火)正午 ⇒ 受付け終了しました

  • 7月20日(火)正午の時点で定員超過した場合、選抜を行います。
  • 7月20日(火)正午の時点で定員に到達していない場合、定員到達まで受付延長し定員到達の時点で受付完了とします。

講義日程

参加者は以下の日程で行われる専門講師による講演を聴講し,前後に出題される課題に取り組んでもらいます.

  • 9月27日(月),3-4限,Zoom開催
  • 講演者:
  •  理系漫画家
  •    はやのん先生

  • 9月28日(火),3-4限,Zoom開催
  • 講演者:
  •  国立科学博物館認定サイエンスコミュニケータ
  •  大学の先生芸人(吉本興業)、東京大学大学院情報学環客員研究員
  •    黒ラブ教授

  • 9月30日(木),3-4限,Zoom開催
  • 講演者:
  •  丸善出版株式会社 企画・編集部 第三グループ長
  •  ウィークエンド・カフェ・デ・サイエンス(WEcafe) 副代表
  •  国立科学博物館認定サイエンスコミュニケータ
  •    熊谷 現 先生

事前課題

  • はやのん先生クリック
  • 黒ラブ教授 クリック
  • 熊谷現先生 クリック

提出期限:8月31日(火)

提出方法:GoogleClassroomの課題フォーム(7月初旬投稿予定)にて提出下さい。

講演案内

9月27日(月), 3-4限:はやのん先生

講演タイトル:研究広報のSNS担当になったらどうしよう!?

講演概要:

理系漫画家はやのんです。これまで20年以上研究を紹介する漫画を描いています。私が代表をつとめる理系漫画制作室は今年10周年。現在は漫画を中心にした「研究広報」を事業としています。近年、TwitterなどのSNSを活用して情報発信をする大学、企業、研究室などが増えています。みなさんが研究室や就職先でその担当者になったらどんな運用をしたらいいでしょうか。便利な方法、気を付けるべきポイントと冷や汗が流れる多くの失敗談をシェアします。

9月28日(火), 3-4限:黒ラブ教授

講演タイトル:大学の先生芸人が伝えるサイエンスコミュニケーション技術実践特論

        わかりやすい・楽しい・面白い(笑うまでじゃない)・笑うの差
         伝わらなかったらごめんね!

講演概要:

科学に興味がない人向けの科学コミュニケーション(以下、SC)を専門にする科学コミュニケーターの黒ラブ教授と申します。大学の先生をしながら科学漫談で芸人活動をして、おかげさまで全国展開しています。皆さんは芸人になりたいわけではありませんので、ボケてくださいとか言いません。安心してください(笑)。でも芸人が笑わせるまでの周辺の技術を学ぶと、SCは見違えるほど変わります。その技術を簡単に紹介します。

9月30日(木), 3-4限:熊谷 現 先生

講演タイトル:その話、誰が聞きたいの?

        対象を意識したサイエンスコミュニケーションのススメ

講演概要:

「サイエンスコミュニケーション」と聞くと、多くの方は「科学の知識を正確に、わかりやすく伝える活動」をイメージすると思います。ですが、どんなに正確でわかりやすい話でも、そもそも興味を持ってもらえないとコミュニケーションは成り立ちません。 科学分野の書籍の企画・編集、サイエンスカフェの企画・運営を行ってきた経験から、相手に「知りたい」と思わせるサイエンスコミュニケーションのヒントをお伝えします。

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