2020年度『サイエンス・コミュニケーション演習』

3年次(4年次)の上級科目として『サイエンス・コミュニケーション演習』を開講します。『UECパスポートプログラム』の一環として開講される本科目の目的は、科学の専門的な内容を他者に伝える具体的なアプローチの例を学び、今後、学生が自ら専門的な内容を他者へ発信できる能力を高めようとするものです。

受講生による講義紹介

全体を通して

『専門外の人に伝えるために』

私は3日間のサイエンスコミュニケーションの授業を通して、自分の専門としている事柄を専門外の人たちに伝える方法を学びました。伝えると言ってもただ伝えるだけではなく、それについて興味を持ってもらい、さらに理解を深め主体的に考えてもらうことが大切だということも知ることができました。仲が良い人、自分と専門分野を同じくする人あるいはその知識がある人、興味がある人に対しては、自分の意見や研究したことを理解してもらうのは容易であると思います。しかし、そうでない人はどうでしょうか。実際、世の中には後者の人の方が多いと思います。今回の授業では全体を通して、伝える事柄と相手の知識、欲しているもの、好きなものにどう合わせていくか、その方法を得ることができました。自分の探究していることをより多くの人に伝えたい、興味を持ってもらいたい、魅力的な伝え方をしたいと思う方は是非受講するべきだと思います。(Y.T.さん)

各講義を受講して

『科学と人類の付き合い方』
日経サイエンス 編集長 古田彩 先生
「STAP細胞問題が問うもの:科学と科学コミュニケーションの狭間で」より

1日目の授業では日経サイエンスの編集長としてご活躍されている古田先生をお招きして、STAP細胞の問題を題材に科学コミュニケーションの失敗した原因と解決法について議論した。授業の前半では古田先生から科学誌の記者としてSTAP細胞事件の経緯についての丁寧な説明があり、後半ではそれらを踏まえて2,3人程度の少数グループ内で意見を出し合った。理化学研究所の調査委員会の発表によって科学的にSTAP細胞は存在しなかったという結論が出ていたのにも関わらず、未だに世間一般に広く受け入れられていないような印象を受けるのは、科学的根拠に基づく情報よりも小保方氏個人のイメージやストーリーに焦点が当たってしまったためであった。私達は科学を扱う者として、ファクトとオピニオンをしっかりと分けて認識する必要があり、その点を心がけて一般社会に向けて科学の発信をしなくてはならないという事が学べた。(T.M.さん)

『一般人に科学を伝えること』
国立科学博物館認定サイエンスコミュニケータ
  WEcafe事務局代表 蓑田裕美 先生
「サイエンスカフェ」より

サイエンスカフェという専門家と一般人が科学について話し合うイベントを運営する蓑田裕美先生を講師としてお招きして、サイエンスカフェの企画運営の舞台裏や一般人でも専門家と楽しく会話できるためのファシリテーションのコツについて学びました。講義の前半では、実際にミニ・サイエンスカフェを行い、その後ミニ・サイエンスカフェの進行に関して気づいた点を発表し合いました。参加者全員が安心して会話に参加できるような工夫を学ぶことができました。講義の後半では、もし実際にサイエンスカフェを企画するなら、どのようなタイトルでどのような工夫をするかということを発表し合いました。科学にあまり興味がない人でも楽しく会話に参加できるようにする工夫を学ぶということは初めての経験でした。とても貴重な経験になりました。(T.S.さん)

『楽しい科学を子供に伝える』
ミュージアムパーク茨城県自然博物館 副主任学芸員 鵜沢美穂子 先生
「科学コミュニケーション in ミュージアムパーク!」より

茨城県にあるミュージアムパークで学芸員をされている鵜沢さんは、自分が大好きなコケについての研究や、学芸員として主に子供達にコケの魅力を伝えるお仕事をされている。博物館の企画展示や体験型イベントを計画する上では、対象は誰なのか、時間は開始から終わりまでどれくらい必要なのかなどをこと細かく計画し、また体験した時間だけでなく帰った後でもそのことを思い返してもらえるよう、お土産のような形で持ち帰ってもらうことを考えるなど、自分の知識を広めてたくさん知ってもらえるようにする方法について講義を頂いた。自分の知っている知識をアピールすることはいくらでもできるが、披露する対象に応じてどの情報が必要でどの情報は要らないのかを取捨選択することの重要性についてこの講義で考えることができた。(K.H.さん)

ガイダンス

日程:2020年12月21日(月) 5限 (※終了しました)

場所:ZOOM開催(↓下記に記載のZoom招待情報から参加下さい↓)

https://drive.google.com/file/d/1Lnnv863NAMISvCAhUeBlk6TFTJ8d-2HF/view?usp=sharing

※「@gl.cc.uec.ac.jp」からの入室をお願いします。

『サイエンス・コミュニケーション演習』の目的,概要の説明を行います.同時に受講希望者数の調査を行います.

受講申し込み方法

  グーグルクラスルームから、申込み下さい。(上方のクラスコード参照)

参加人数に上限があります。応募者多数の場合は選抜を行い、選抜結果を連絡しますので、選抜された方は、別途、履修登録の処理をして下さい。

申し込み締め切り:1月12日(火)正午 ⇒ 受付け終了しました

  • 1月12日(火)正午の時点で定員超過した場合、選抜を行います。
  • 1月12日(火)正午の時点で定員に到達していない場合、定員到達まで受付延長し定員到達の時点で受付完了とします。

講義日程

参加者は以下の日程で行われる専門講師による講演を聴講し,前後に出題される課題に取り組んでもらいます.

  • 2021年2月22日(月),3-4限,Zoom開催
  • 講演者:
  •  日経サイエンス
  •    編集長  古田 彩 先生

  • 2021年2月24日(水),3-4限,Zoom開催
  • 講演者:
  •  国立科学博物館認定サイエンスコミュニケータ
  •    WEcafe事務局代表 蓑田 裕美 先生

  • 2021年2月25日(木),3-4限,Zoom開催
  • 講演者:
  •  ミュージアムパーク茨城県自然博物館
  •    副主任学芸員  鵜沢 美穂子 先生

事前課題

  • 古田 彩 先生クリック
  • 蓑田 裕美 先生クリック ※打合せ録追記版をClassroomに掲載※
  • 鵜沢 美穂子 先生クリック

提出期限:(後報) ⇒ 2月11日(木)

提出方法:電子ファイル(WORDまたはPDF.イラスト等の課題は,PDF化する際,高解像度で変換のこと)にて,パスポートプログラム連絡窓口contact © passport.uec.ac.jp (© をアットマークに変更)まで送ってください.

講演案内

2月22日(月), 3-4限:古田 彩 先生

講演タイトル: STAP細胞問題が問うもの:科学と科学コミュニケーションの狭間で

講演概要:

2014年,日本の科学界を揺さぶった研究不正事例「STAP細胞」問題が起きました。発表の直後から論文に多数の疑義が指摘され,調査委員会が「STAP細胞はなかった」と結論づけました。ですが,この結論は必ずしも社会に浸透していません。なぜこのような状況になったのか,科学コミュニケーションの観点から考えます。

2月24日(水), 3-4限:蓑田 裕美 先生

講演タイトル: サイエンスカフェ

講演概要:

市民が専門家と科学について話し合うイベント「サイエンスカフェ」を運営する講師が、企画運営の舞台裏や良い対話に導くファシリテーションのコツを紹介します。

2月25日(木), 3-4限:鵜沢 美穂子 先生

講演タイトル: 科学コミュニケーション in ミュージアムパーク!

講演概要:

博物館では,幼児から高齢者まで,様々な年齢層に対して科学コミュニケーションのイベントを行っています。学芸員は特に,自分の専門分野についてわかりやすく伝える技術が求められる職業です。自然に興味を持ち,楽しく学んでもらうために試行錯誤した過程と,その上で編み出した工夫を,実例を通してお伝えしたいと思います。

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