平成30年度『サイエンス・コミュニケーション演習』

3年次(4年次)の上級科目として『サイエンス・コミュニケーション演習』を開講します。『UECパスポートプログラム』の一環として開講される本科目の目的は、科学の専門的な内容を他者に伝える具体的なアプローチの例を学び、今後、学生が自ら専門的な内容を他者へ発信できる能力を高めようとするものです。

受講生による講義紹介

全体を通して

『科学に興味をもってもらう』

サイエンスコミュニケーションとは、科学に詳しくない人へその知識を分かりやすく伝えることです。この講義を受講して、科学を一般の方に説明するときの考え方とコツを学べました。誰をターゲットにするのか、イラストを見たときに誤解が生まれないか、シンプルでかつ情報が不足していないか、人の視線が追いやすいかどうかなど、意識する点はたくさんあります。私たちは今大学生ですが、将来社会に出て自分の専門分野以外の方々とコミュニケーションをとる機会はたくさんあると思います。このスキルを大学で身に着けておくと困ることはありません。 初日は、毎日新聞社の記者である須田桃子先生から科学の研究不正や倫理的課題を取材した当時の話を伺い、リアルな社会と科学の関わりを学びました。 二日目は、イラストレーターのウチダヒロコ先生に一つのシンプルなイラストで伝えるコツを教えていただきました。三日目は、2020国際生物学オリンピックの事務局長を務めていらっしゃる工藤光子先生に展示パネルの構成の仕方を学びました。二日目、三日目は連動しており、三日目もウチダ先生にお越しいただきました。私たちが展示パネルを作成している間にウチダ先生も別のテーマで作っていただき、最後にどのような過程で作ったかノートを見せて説明してくださいました。プロの仕事を見ることができ、感動しました。 (A.T.さん)

各講義を受講して

『科学と社会の関わり』
毎日新聞社 科学環境部 記者 須田桃子 先生
「科学と社会との関わり
     〜 研究不正の具体事例と生物学の新たな潮流を通して考える〜」より

サイエンスコミュニケーション演習初日は、STAP細胞事件を最前線で取材されていた須田桃子先生のお話を伺いました。講義の前半では、STAP細胞事件を通して科学者と社会のコミュニケーションの重要性について学びました。須田先生は事件当時、直に当事者らへの取材をされており、初期の時期から論文撤回後に至るまで非常に密なお話を伺うことができました。論文の不正などは研究者になってから行うようになるものではなく、学生の時からその兆候があるというお話があり、自分も普段のレポートなどを書く際からデータの管理などを徹底しようと思いました。講義の後半では、最新の合成生物学の研究についてのお話を伺いました。これからの研究では、ゲノムを読む時代から書く時代へと移っていくことが予想されており、それにより子供のゲノムを親の都合で改変するなど倫理的な問題があります。発達した科学には必ず倫理的な課題が隣り合わせになっていることを考えることができる、いい機会になりました。(H.I.さん)

『誰にでも伝わるようなイラストの作り方とは』
イラストレーター ウチダヒロコ 先生
「生命科学を伝える 〜 展示パネルを作る(準備編)」より

本講義では、事前課題で行なった"人々の生活における陸上植物の活用例でポスター作成"を元に、キービジュアルについて学びました。 キービジュアルとは、ポスターやWebページなどの媒体で目立つところに置かれるイメージ画像で、作成するにあたり重要なことが二つ挙げられます。一つ目は、視線の動きに注意することです。一般的に、人の視線は左から右、上から下に動きやすいため、矢印でイラスト間を誘導する時はこのことを考慮すると伝わりやすいと分かりました。二つ目は、文字を使わない、ということです。説明文は最低限にすることで、簡潔で分かりやすいイラストを作れることが分かりました。 以上のポイントに従って、ポスターのキービジュアルの作成に取り組んだところ、事前課題の時より分かりやすく、すっきりしたイラストを作成する事が出来ました。また、先生から改善点を教えていただけたので、今後の参考にしたいと考えました。プロのイラストレーターにお会いする機会はないので、貴重な経験が出来てよかったです。 (A.F.さん)

『科学パネルでの情報の配置の整理について学んだこと』
日本科学技術振興財団 IBO2020長崎大会事務局 事務局長 工藤光子 先生
「生命科学を伝える 〜 展示パネルを作る」より

工藤光子先生は、科学を伝える展示パネル製作について講義をしてくださいました。相手を自分の伝えたいものに導くためには、相手にどのような知識があると理解しやすいのか、を考えながらパネルを作成することが重要であると教えていただきました。 講義の後に事前課題を元に実際にパネルを作成しましたが、私は前置きを多く書きすぎたために伝えたいことがぼやけ、うまく情報が載せられない結果になってしまいました。そこで、工藤先生のご指導により、これを防ぐには最初に構造をフローチャートで考えることが必要であると学びました。論理的に構造を組み立てていく手法は画面一枚で見せるパネルだけでなく、プレゼンテーションなどにも応用できるため、これからの学生生活に役立つと感じています。ぜひ受講をおすすめします。 (K.A.さん)

ガイダンス

日程:7月30日(月) 5限

場所:D棟101

『サイエンス・コミュニケーション演習』の目的,概要の説明を行います.同時に受講希望者数の調査を行います.

受講申し込み方法

下記の情報をパスポートプログラム連絡窓口contact © passport.uec.ac.jp (© をアットマークに変更)まで送ってください.メールでのお申込み以外に履修登録は必要ありません.参加人数に上限があり,応募者多数の場合は選抜を行います.履修の受付完了者には返信メールをお送りします.

申し込み締め切り:8月3日(金)⇒申し込みは締め切りました.

  • 件名:サイエンスコミュニケーション演習申し込み
  • 学籍番号,氏名,学科コース(研究室)
  • 受講理由
  • 将来どのような仕事に携わりたいか
  • 自己PR(任意)

講義日程

参加者は以下の日程で行われる専門講師による講演を聴講し,前後に出題される課題に取り組んでもらいます.

  • 9月25日(火),3-4限,[講義会場:新C棟403]
  • 講演者:
      毎日新聞社 科学環境部
  •  記者 須田桃子 先生
  • 9月26日(水),3-4限,[講義会場:新C棟403]
  • 講演者:
      ウチダヒロコ公式サイト
     イラストレーター ウチダヒロコ 先生
  • 9月27日(木),3-4限,[講義会場:新C棟403]
  • 講演者:
  •   日本科学技術振興財団 第31回国際生物学オリンピック2020長崎大会事務局
  •  事務局長 工藤光子 先生

事前課題

  • 須田桃子 先生クリック
  • ウチダヒロコ 先生クリック
  • 工藤光子 先生クリック

提出期限:8月31日(金)

提出方法:下記宛先に郵送(提出期限必着),または東1号館3階エレベータ前のポストに紙面にて提出ください.学籍番号,氏名を必ず明記すること.
〒182-8585
 東京都調布市調布ヶ丘1-5-1
 電気通信大学東1-3階物理事務気付
 『サイエンス・コミュニケーション演習事前課題』

または電子ファイル(WORDまたはPDF.イラスト等の課題は,PDF化する際,高解像度で変換のこと)にて,パスポートプログラム連絡窓口contact © passport.uec.ac.jp (© をアットマークに変更)まで送ってください.

講演案内

9月25日(火), 3-4限:須田桃子 先生

講演タイトル:科学と社会との関わり

                   ― 研究不正の具体事例と生物学の新たな潮流を通して考える ―

講演概要:

科学の健全な発展のためには、科学者・研究機関と社会とのコミュニケーションが欠かせません。
講義の前半で2014年に話題を呼んだSTAP細胞問題、後半では生物学の新たな潮流「合成生物学」の米国での研究状況を題材に、科学的成果の発信の仕方や科学者の説明責任、最先端科学の倫理的課題を巡る議論のあり方について考えます。

9月26日(水), 3-4限:ウチダヒロコ 先生

講演タイトル:生命科学を伝える 〜 展示パネルを作る(準備編)

講演概要:

事前課題をもとに実際に展示パネルを作成する。
パネルにまとめるテーマとその背景に関する情報を収集・理解した上で具体的な掲載内容を検討し、分かりやすさと科学的な正確さを両立させつつ展示パネルのメインとなる図表を作る。

9月27日(木), 3-4限:工藤光子 先生

講演タイトル:生命科学を伝える 〜 展示パネルを作る

講演概要:

事前課題をもとに実際に展示パネルを作成する。
タイトル、レイアウト、キャプション、リード文とう構成要素を作り、組み合わせる。
*前日のウチダヒロコ氏と連続しています。

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