平成29年度『サイエンス・コミュニケーション演習』

3年次(4年次)の上級科目として『サイエンス・コミュニケーション演習』を開講します。『UECパスポートプログラム』の一環として開講される本科目の目的は、科学の専門的な内容を他者に伝える具体的なアプローチの例を学び、今後、学生が自ら専門的な内容を他者へ発信できる能力を高めようとするものです。

受講生による講義紹介

全体を通して

科学を伝えるために

サイエンスコミュニケーション演習では科学をわかりやすく伝える方法を学ぶことが出来ます。科学を伝えることは、普段私たちが行う会話などの情報発信に比べて難しいです。それは日常生活で触れることがほとんどない概念、物、技術を伝える必要があるからです。したがって科学を伝える際はわかりづらい内容を伝えるための工夫が必要です。この講義では様々な形で科学を伝える仕事をされている方を講師にお招きして、科学に関する情報をわかりやすく発信する方法を教えて頂くことが出来ました。たとえば画像や模型を用いて視覚的にわかりやすく伝えること、平易な用語でシンプルに文章を書くことの重要性を学ぶことが出来ました。将来自分の専門分野を伝えるという場面は多々想定されます。その際に科学をわかりやすく伝える方法を習得していれば専門分野を相手に理解してもらうことが出来ます。そのような時のために受講をお勧めします。(K.M.さん)

各講義を受講して

絵で伝える科学
はやのん理系漫画制作室 小林早野先生
「理系漫画の原作者になろう!〜6コマ漫画で研究紹介〜」より

はやのん先生こと小林早野先生の講義では「漫画で科学を伝える」をテーマに講義をしてくださいました。講義の前半では、はやのん先生の経歴や物理科の学生だった先生が漫画家になった動機などを面白く話してくださりました。講義の後半では、事前学習で調べた興味のある研究室の情報をもとに、研究室の紹介漫画の下書きを書いてくださいました。その際、読者にわかりやすく読んでもらうためには専門用語を簡単に説明するということが大事だということを学びました。また取材内容が虚偽であった経験談を聞き、入手した情報が正確かどうかを確認すること、そのために事前に勉強をしたり、取材先や第三者に確認をとる必要があることを学びました。はやのん先生の講義を通して感じたのは硬くなりがちな科学の説明文を、絵を使うことによって誰でも理解しやすくできるということです。絵の場合、視覚によって伝えるで難しい文章を読むよりもわかりやすく理解してもらいやすいのだなと思いました。(M.S.さん)

伝える技術
科学コミュニケーター 本間善夫先生
「リアルとバーチャルでカガクをツタエル」より

 科学の情報を様々な人に伝える上で興味を持ってもらうために、3Dモデルや画像を使ったり、またサイエンスカフェなどを開催して情報発信をしている話だった。先生は「もっと身近にサイエンスを感じてほしい」とおっしゃり、自身が使っている様々な情報発信の方法を教えてくれた。バーチャルに伝える方法としてはネットの機能を十分に利用し、ホームページやTwitter、Facebookを使って情報を発信している。一方でリアルに伝える方法としてはサイエンスアゴラなどに出展し直接人に会って科学を伝えている。またその際、名刺を持ち歩きいろいろな人に自分の情報を発信し、人との繋がりを作ることで逆に情報を得ている。事前課題で私自身も名刺を作ったが、より相手に知ってもらうために「できるだけ自分の興味のあるワードを書くべきだ」と話していた。さらに先生の情報発信の具体例として、原子の模型を見せていただいた。シリコンでできたもので、組み合わせたり分解できるようになっており、触りながら分子の仕組みや働きを知ることができる教材であった。複雑な仕組みをした分子も、実物を見ることで分かりやすくなることを実感し、模型などのツールの利便性を感じた。 (N.K.さん)

新聞は情報発信の基本
株式会社 日経サイエンス 代表取締役社長 鹿児島昌樹 先生
「役に立つ発信と受信の手法」より

文章で情報を発信する際は,読み手に伝わりやすくするため,主語と修飾語のかかりつけを分かりやすく,短く,そしてなるべく専門用語を使わない文章で書き,難しい言葉は大和言葉に直すという工夫が必要である.また記事にする際,限られた時間の中,分かりやすさ・正しさ・速報性を両立するのは難しいが,一番大切なのは正しさである.そのため特に科学系の記事を書く際に,その情報が正確かどうかの確証を得るには,自分で勉強したり,同業者に聞いたりすることが必要である. 一方,情報を受信する際には,ネット上のニュースとは異なり,新聞では記者が手間暇かけて取材をし,その記事に対して肯定面と否定面の両方を載せているため,それらを統合して考えることでフェイクニュースを見抜くことができるということを学んだ. これらは論文で理解しやすい文章で正しい内容を書き,文献の正誤を判断するのに役に立つと思う. (H.S.さん)

ガイダンス

日程:7月27日(木) 5限

場所:D棟101

『サイエンス・コミュニケーション演習』の目的,概要の説明を行います.同時に受講希望者数の調査を行います.

受講申し込み方法

下記の情報をパスポートプログラム連絡窓口contact © passport.uec.ac.jp (© をアットマークに変更)まで送ってください.メールでのお申込み以外に履修登録は必要ありません.参加人数に上限があり,応募者多数の場合は選抜を行います.履修の受付完了者には返信メールをお送りします.

申し込み締め切り:申し込みは締め切りました.

  • 件名:サイエンスコミュニケーション演習申し込み
  • 学籍番号,氏名,学科コース(研究室)
  • 受講理由
  • 将来どのような仕事に携わりたいか
  • 自己PR(任意)

講義日程

参加者は以下の日程で行われる専門講師による講演を聴講し,前後に出題される課題に取り組んでもらいます.

事前課題

  • 小林早野 先生
  • 本間善夫 先生クリック
  • 鹿児島昌樹 先生クリック

提出期限:8月31日(木)

提出方法:下記宛先に郵送(提出期限必着),または東1号館3階エレベータ前のポストに紙面にて提出ください.学籍番号,氏名を必ず明記すること.
〒182-8585
 東京都調布市調布ヶ丘1-5-1
 電気通信大学東1-3階物理事務気付
 『サイエンス・コミュニケーション演習事前課題』

または電子ファイル(WORDまたはPDF.イラスト等の課題は,PDF化する際,高解像度で変換のこと)にて,パスポートプログラム連絡窓口contact © passport.uec.ac.jp (© をアットマークに変更)まで送ってください.

講演案内

9月6日(水), 3-4限:小林早野 先生

講演タイトル:理系漫画の原作者になろう!〜6コマ漫画で研究紹介〜

講演概要:

理工系の研究開発を「簡潔に・正確に・わかりやすく・おもしろい感じで」紹介する「理系漫画」の手法を学べる講義です。この講義の中で、「4年生になったら所属したいな〜」と思っている研究室の先生の「研究紹介漫画」のお話を一緒につくってみましょう。漫画のお話を書くために調べものをする過程で、その分野やテーマの魅力がわかってくると思います。絵はまったく描けなくても大丈夫です!

9月7日(木), 3-4限:本間善夫 先生

講演タイトル:リアルとバーチャルでカガクをツタエル

講演概要:

大学で学んでいることや研究していることを多くの方に知ってもらうことがますます重要になってきています。WebページやSNSを利用して画像や動画によりわかりやすく伝えるバーチャルな方法,公開イベントやサイエンスカフェなどのリアルな場で対話しながら理解を深める方法,あるいは両者を併用する方法。カガクをツタエルには自分の得意な力を活かしたり仲間と協力することが重要だと思います。関心のある分野のお気に入りのWebページリンク集を作成したり,多くのリアルな場に出向くことで自分なりの発信方法を見つけてみましょう。

9月8日(金), 3-4限:鹿児島昌樹 先生

講演タイトル:役に立つ発信と受信の手法

講演概要:

世の中には情報が溢れています。その中から価値ある情報を見抜く力と、情報をきちんと伝える力を身につけることが欠かせません。特に科学技術は「新発見」や「新開発」といった情報が多く、発信する側には相手が理解できるように説明する力が求められます。科学技術報道に携わってきた経験を踏まえ、役に立つ発信と受信の手法を紹介します。

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