平成26年度『サイエンス・コミュニケーション演習』

3年次(4年次)の上級科目として『サイエンス・コミュニケーション演習』を開講します。『UECパスポートプログラム』の一環として開講される本科目の目的は、科学の専門的な内容を他者に伝える具体的なアプローチの例を学び、今後、学生が自ら専門的な内容を他者へ発信できる能力を高めようとするものです。

受講生による講義紹介

全体を通して

科学技術を伝える

この講義から私が学んだことは、伝える相手によって伝え方、伝えることを変える必要があるということです。伝える相手は小学生以下からお年寄りの方々まで様々だということでした。また、この講義の特徴は講師の方々の話を聞くだけでなく、自分で体験することができるという点です。自分で体験することで伝え方の難しさ、重要性がわかりました。講義では、自己紹介をしたり、実験を考えたり、フライヤーを制作したりと自ら学ぶことで印象に残るため、身に付くことが多いと思いました。また、伝える手段は様々あり、どのように伝えたいかによって伝える手段を選択するというのが重要である、ということを学びました。これは話し方、話す内容であったり、実験方法、ウェブサイト、パンフレットなど伝える媒体を変えるということです。これは今後大学や学会などで発表する時や社会に出てから何かを伝えるときに必要だと思うので受講して良かったと思いました。(4年 T.K.さん)

各講義を受講して

対話を通して
 日本科学未来館 科学コミュニケーター 長谷川麻子先生 落合裕美先生「いいね!」を生み出す技術」より

科学を伝える、ということは当然科学そのものについての知識が大切ですが、それ以上にコミュニケーション力が必要なのだと思いました。相手と上手に対話をする為には、相手が本当に知りたいこと、そして自分が伝えるべきことは何か?それを常に意識して上手く話を合わせなければいけません。しかし実際に授業で対話をしてみるとこれが意外と難しいことに気づかされました。伝えるべき内容は頭の中にあるはずなのに、相手を前にするとどのように話せばいいのかわからなくなってしまいます。難しいのは、自分が論理的に話しているつもりなのに、相手には感情的に聞こえてしまう、などといったお互いの食い違いが起こってしまうことです。自分の考えが相手にうまく伝わらないということは結構辛いことですが。結局そういった経験を通して沢山の人達と対話をしてみることが、コミュニケーション力上昇に繋がるのではないかと思いました。(3年 S.S.さん)

対話を通して
 NPO法人ガリレオ工房・国際基督教大学 原口るみ先生「魅惑(みせ)る 〜科学イベントの作り方〜」より

私はこの講義を通して実験というものを介して科学に触れてもらう楽しさを学びました。まずこの講義の事前課題として科学実験を小学生に向けて行うことを想定した企画書を作成したのですが、やるのとやらせるのではこうも気の使い方が違うのかと思うほどに頭を悩ませました。安全性や費用など、自分が幼い頃に受けていた科学講習等はとても計算されて成立していたんだなあと改めて考えさせられました。講義では実際に科学実験を体験する側として授業が進みましたが、この実験もこうやって考えて作られているのかと、いつもとは違う切り口で実験することができ、とても新鮮な気持ちになりました。自分がアルバイトとして勤めている塾でも大きな休みごとに実験教室なるものを開催しているので、企画して一から作り上げてみたいと思います。また今後プレゼンをするような機会が出てきた際には、口頭だけでなく科学実験のように実演も交えながら相手の心をつかむ努力をしたいです。(3年 T.Y.さん)

タイトルは重要
 国立天文台 天文情報センター 広報室長 生田ちさと先生 「科学コミュニケーションとメディアリレーション:天文学篇」より

国立天文台の天文情報センターの方に来てもらい、科学コミュニケーションについて実際に行っている広報・アウトリーチ活動のお話を聴いた。まず、学んだのは誰をターゲットにどのような形で広報するのかである。誰に広報するのかは重要で、その人にとって欲しい情報を発信することが求められる。広報の形ではウェブサイトやフライヤーなどがあり、事前に課題として自分の研究している内容についてフライヤーを作成し、それをもとに注意点などを確認した。そこでは目にとまりやすいデザインにすることとともに分かりやすいタイトル付けも必要であると学んだ。また、ウェブサイトでは伝えたい相手を意識し、どこに視線が移るのかも考えて作らなければならないと学んだ。必要な情報が見やすい、位置にあると便利であるし、視線に関しては写真一枚で変わるだろう。ウェブサイトでは更新が比較的早くすることができ、そういう点で広報ではウェブが良く使われる。(3年 Y.K.さん)

ガイダンス

日程:7月24日(木) 5限

場所:D棟101

『サイエンス・コミュニケーション演習』の目的,概要の説明を行います.同時に受講希望者数の調査を行います.

受講申し込み方法

下記の情報をパスポートプログラム連絡窓口contact © passport.uec.ac.jp (© をアットマークに変更)まで送ってください.メールでのお申込み以外に履修登録は必要ありません.参加人数に上限があり,応募者多数の場合は選抜を行います.履修の受付完了者には返信メールをお送りします.
申し込み締め切り:8月5日(火)17:00 → 8月12日 (火) 17:00に延長します。先着順で上限まで申し込みを受け付けます

  • 件名:サイエンスコミュニケーション演習申し込み
  • 学籍番号,氏名,学科コース(研究室)
  • 受講理由
  • 将来どのような仕事に携わりたいか
  • 自己PR(任意)

講義日程

参加者は以下の日程で行われる専門講師による講演を聴講し,前後に出題される課題に取り組んでもらいます.

事前課題についてはこちら

当日のプレゼンテーションファイル

講演案内

9月16日(火), 3-4限:長谷川麻子 先生、落合裕美 先生

講演タイトル:『「いいね!」を生み出す技術』

講演概要:

これなあに?
どんな仕組で動いてるの?
宇宙の外側はどうなってるの?時間がうまれる前はなにがあったの?
私達これからどうなるの…???
日本科学未来館で働く科学コミュニケーターの仕事は、あらゆる人のあらゆる質問に答えること。ものづくり大国日本のお家芸ロボットから生命と宇宙の神秘まで、なんでもこい!
そんな仕事に必要なのはズバリ度胸!?いえいえ、ちがうんです。
この驚異の技の名は科学コミュニケーション。
対話を通じ、相手の文脈にあわせて疑問を整理し、ときに議論へと誘い出しつつ、自分と世界をより深く考えるための新たな問いへと進む未来志向の思考法をワークショップ形式で伝授します。
遠い夏の日ふと心にうかんだ謎、最近気になって仕方ないこと、はたまたあなたの情熱の対象。どれも科学コミュニケーションで料理すれば、未来作りの材料です!

9月17日(水), 3-4限:原口るみ 先生

講演タイトル:『魅惑る(みせる)〜科学イベントの作り方〜』

講演概要:

オープンキャンパスや文化祭で、就職した企業のCSR(社会貢献活動)の一貫で、あるいはPTAとして自分のこどもの学校行事で、科学イベントを行う機会があった時、一体何から始めたらよいのでしょう?科学イベントと一言で言っても、ショー・実験教室・実験ブースなどイベントの形式は様々です。ブースなら楽しめる実験でもショーだと見劣りしてしまったり、ショーではできないことが実験教室だとできたり・・・それぞれの場所や人数などの条件に合わせた企画をすることが大切です。安全で楽しい科学イベントを企画する方法を一緒に探りましょう!

9月18日, 19日(木,金), 3限:生田ちさと 先生

講演タイトル:『科学コミュニケーションとメディアリレーション:天文学篇』

講演概要:

天文学は、全く実用的な学問ではありません。天文学者は、純粋に宇宙の美しさや不思議に興味をもち、「すぐには役に立たない」研究に情熱を注いでいます。一方で、天文学を含む基礎科学の研究にも資金が必要であり、その資金のほとんどは税金によって支えられています。とすれば、研究成果やその副産物を人々に還元するのが当然。さらに、研究者の多くは、自分の発見・新しい知見を多くの人々と共有したいと考えています。そこで重要になるのが科学コミュニケーションです。どんなにすばらしい研究成果も、人々に伝わらなければ意味がありません。

この講義では、多くの人々に、宇宙への興味をもってもらうための、国立天文台の工夫や取り組みを具体例を挙げながら紹介します。

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