2025年度『サイエンス・コミュニケーション演習』
3年次(4年次)の上級科目として『サイエンス・コミュニケーション演習』を開講します。『UECパスポートプログラム』の一環として開講される本科目の目的は、科学の専門的な内容を他者に伝える具体的なアプローチの例を学び、今後、学生が自ら専門的な内容を他者へ発信できる能力を高めようとするものです。
受講生による講義紹介
全体を通して
『未来へ広がる科学発信力』
SCE全体を通して感じたのは、科学を「正しく」伝えること以上に「届く」伝え方を考えることの大切さです。1日目の動画制作、2日目の天文学を題材にした実践、3日目のターゲティングの学びは、それぞれ異なる観点ながら一貫して「相手の立場に立つ」ことを重視していました。これらを体験することで、情報を伝える際の準備や工夫の重要性を深く理解できます。科学を学ぶ学生としてだけでなく、今後社会に出て幅広い人と関わる際にも必ず役立つ内容です。SCEは、単なる講義にとどまらず、自分自身の発信力を磨く機会として強くお勧めできる演習でした。(N.Y.さん)
『たった6コマとは思えない神授業』
この授業はサイエンスコミュニケーションについて外部から招かれた3名の講師の方にお話しいただき、その後習った手法を用いて実践的なグループワークなどを行うものでした。3人の講師それぞれが異なるバックグラウンドを持っており、様々な観点からサイエンスコミュニケーションを学ぶことができました。グループワークの時間も講義と同じかそれ以上に学びあるもので、先生のアドバイスだけでなく他の受講者の創意工夫など、自分では思いつかなかった発想に触れることができました。全体を振り返ってみても、大学だけでなく卒業してからも役にたつ知見ばかりで、たった6コマとは思えないほど濃密な時間でした。少しでもこの授業が気になる方は、ぜひ受けてみて下さい。(A.K.さん)
各講義を受講して
『好きだけじゃ生きていけない!?』
イチケン先生の講義
「YouTube動画の台本とサムネイルを作ってみよう!」より
電気電子工学系ものづくりYouTuber・イチケン先生による講義では、「楽しいことを発信する」だけでなく、「視聴者ニーズに寄り添い、求められる動画を作る」ことの重要性を学びました。サムネイルや動画構成といった要素が再生数に大きく影響すること、視聴者の想定や仮説を覆す「意外性」が興味を引くポイントになることなど、実践的な知識を深めることができました。講義内では実際にサムネイルを制作し、イチケン先生から丁寧な講評を受けられる貴重な機会も。プロとしてのこだわりや覚悟に触れ、人を惹きつけるコンテンツとは何かを考えるきっかけになりました。ものづくりや発信に関心がある人に、強くおすすめしたい講義です。(K.U.さん)
『専門と社会をつなぐ伝え方』
山岡均先生の講義
「天文学を例にした科学コミュニケーションの実際」より
2日目は国立天文台の山岡先生による講義でした。天文学は多くの人の関心を集める一方で、日常生活との結びつきが薄いと感じられがちな分野です。そのため、研究成果をいかに「社会に伝えるか」が重要なテーマとなります。講義では、国立天文台での広報活動の実例を交えながら、科学を伝える際に必要な工夫を学びました。特に「専門用語を避ける」「難しい熟語を極力使わない」といった具体的なアドバイスは専門分野に関わる以上、常に意識し、私自身も発表していくべきだと感じました。演習では、自分が関心を持った研究発表をまとめ、グループ内で発表しました。限られた条件の中で自らが伝えたいことを伝える難しさを実感し、今後の発表への糧になりました。研究で成果を出すことも大切ですが、それを社会に「正しく、わかりやすく」届けることの難しさと重要性を肌で感じられる講義でした。科学を発信する力を伸ばしたい人に強くおすすめします。(G.M.さん)
『わかりやすさの工夫』
山岡均先生の講義
「天文学を例にした科学コミュニケーションの実際」より
2日目のSCEの講義では、情報を発信するときに「相手にどう伝わるか」を常に意識する大切さを学びました。特に印象的だったのは、文章や映像における「選択と集中」です。何もかも盛り込むのではなく、本当に伝えたいことを絞り込むことで、より強いインパクトを与えられます。また、専門用語をできるだけ避け、難しい漢字やカタカナ語を乱用しない工夫も学びました。実際に見た国立天文台のプロモーション映像では、天文学を知らない人でも直感的に理解できるように配慮されており、アルマ望遠鏡による酸素発見や新しいTMT望遠鏡の紹介が、とてもわかりやすく心に残りました。SCEの授業を通じて、自分が発信する情報を「難しいことを難しく伝える」のではなく、「複雑なことをシンプルに伝える」力を養えると感じました。来年度受講する皆さんにとっても、発信力を高める貴重な体験になるはずです。(S.K.さん)
『相手に届く伝え方』
熊谷現先生の講義
「その話、誰が聞きたいの?対象を意識したサイエンスコミュニケーションのススメ」より
3日目は丸善出版の熊谷先生による講義でした。サイエンスコミュニケーションと聞くと「科学を正しく、わかりやすく伝えること」と思いがちですが、それだけでは十分ではありません。そもそも相手が「聞きたい」と思わなければ、どんなに正確な情報でも届かないのです。講義では、出版やサイエンスカフェでの経験をもとに、ターゲットを意識した情報発信の方法を具体的に教えていただきました。特に「誰に、どんな価値を届けるか」を常に考えること、そしてその魅力を一目で伝えるタイトルの重要性が強調されていました。演習では、自分の専門を学園祭で紹介する企画を考え、特定のターゲットへ向けたタイトルを考える練習を行いました。普段何気なく目にしているタイトルや広告にある戦略を知り、ものの見方が大きく変わったと感じました。「伝えたいこと」ではなく「相手が受け取りたいこと」を意識する大切さを学べる、貴重な時間でした。(G.M.さん)
ガイダンス
日程:7月22日(火)6限 ⇒ スミ
場所:B棟201 ※申し出(前週迄に)のあった人にはZOOM接続を案内予定
『サイエンス・コミュニケーション演習』の目的、概要の説明を行います。同時に受講希望者数の調査を行います。
受講申し込み方法
Eメールにてお申込み下さい
- 宛先:contact(at)passport.uec.ac.jp ( (at)をアットマークに変更 )
- 件名:サイエンスコミュニケーション演習申し込み
- 内容:下記「:」の右側の( )を削除し、回答記入下さい。
- 学年:(記入下さい)
- 類:(記入下さい)
- プログラム:(記入下さい)
- 研究室:(卒研生のみ回答)
- UECPPへの所属:(所属しているorいない、を回答)
- GLTPへの所属:(所属しているorいない、を回答)
- 学籍番号:(記入下さい)
- 氏名:(記入下さい)
- しめい:(よみがなを記入下さい)
- 受講理由:(記入下さい)
- 将来どのような仕事に携わりたいか:(記入下さい)
- 自己PR・その他:(記入下さい)
参加人数に上限があります。応募者多数の場合は選抜を行い、選抜結果をEメール連絡します。
※7/31迄に受講可否の結果を連絡します。
※上記「宛先」からのメールが受信出来るよう設定をしておいて下さい。
※受講可の人をグーグルクラスルームに登録いたします。
以降はクラスルーム上で連絡・提出物などなど行います。
☆本科目の履修登録は、事務局が取りまとめ行います、各自による履修登録は不要です。
申込み期間:7月1日(火)〜7月27日(日) ⇒ 終了
- 申込み期間内の申込みのみを有効とさせて頂きます。
- 〆切時点で定員超過している場合、選抜を行います。
- 〆切時点で定員到達していない場合、受付延長を致します。
- 選抜ではガイダンス出欠等も加味させて頂きます。
講義日程
参加者は以下の日程で行われる専門講師による講演を聴講し、前後に出題される課題に取り組んでもらいます。
- 9月24日(水),3-4限,[講義会場:新C103]
- 講演者:
- 電気系ものづくりYouTuber
- イチケン 先生
- 9月25日(木),3-4限,[講義会場:新C103]
- 講演者:
- 国立天文台 天文情報センター長
- 山岡 均 先生
- 9月30日(火),3-4限,[講義会場:新C103]
- 講演者:
- 丸善出版株式会社 企画・編集部 第三グループ長
- 熊谷 現 先生
※講師紹介はガイダンスにて行い当日講義では割愛します、講演演習に時間を使いたい為。
事前課題
提出期限:8月31日(日) ⇒ 〆切
提出方法:GoogleClassroomの課題フォームより提出下さい。
講演案内
随時、掲載します。
9月24日(水), 3-4限:イチケン先生
講演タイトル:
YouTube動画の台本とサムネイルを作ってみよう!
講演概要:
日本人の10代~40代の約90%がYouTubeを利用していると言われています*1。このため個人だけでなく多くの企業や団体が情報発信の手段として利用が進んでいます。本講義ではプロの電気系ものづくりYouTuberがどのようにして普段動画を作っているのか, どのようにしてわかりやすい動画を作成しているのかをお伝えします。
(*1)https://www.soumu.go.jp/main_content/000765135.pdf
9月25日(木), 3-4限:山岡均先生
講演タイトル:
天文学を例にした科学コミュニケーションの実際
講演概要:
天文分野は市民の関心が高く、注目を集める分野です。その一方で、実生活との関わりが乏しくて社会への成果還元が困難である(と思われがちな)分野でもあります。このような乖離は、どの分野であれ先端科学に共通の課題です。講義では、天文学での実践を実例にした科学コミュニケーションのさまざまな手法を紹介し、その有効性について考えていきたいと思います。さらに演習として、事前課題を活用した相互プレゼンテーションを予定しています。
9月30日(火), 3-4限:熊谷現先生
講演タイトル:その話、誰が聞きたいの?
対象を意識したサイエンスコミュニケーションのススメ
講演概要:
「サイエンスコミュニケーション」と聞くと、多くの方は「科学の知識を正確に、わかりやすく伝える活動」をイメージすると思います。ですが、どんなに正確でわかりやすい話でも、そもそも興味を持ってもらえないとコミュニケーションは成り立ちません。 科学分野の書籍の企画・編集、サイエンスカフェの企画・運営を行ってきた経験から、相手に「知りたい」と思わせるサイエンスコミュニケーションのヒントをお伝えします。
